イラワンと申します。
2024年の目標の一つは日本とインドネシアの関係をより深めるために、日本語でのインドネシア情報発信をするためのブログを再開することだったのですが、なかなか実行できず。ちょうどインドネシアが断食明け休日に入り、特に旅行する予定はないのでこれを機にブログを構築してスタートさせようと思います。
それでは、一本目の記事ということで、簡単な自己紹介及び今後書く予定のテーマを書きたいと思います。
自己紹介
僕は北スマトラのメダン市出身の華僑系インドネシア人で、福建語は話せますが、中国語は苦手です。高校卒業するまでメダンにおり、高校卒業後、文部科学省の国費留学生として2010年から2015年まで日本に留学しました。1年間は新宿にある日本語学校に通い、その後東京の専門学校でロボット機械工学を学び、神奈川の大学に3年次編入して電子工学学士を取得しました。
大学卒業後は、約1年半東京に所在する日系コンサル会社に就職し、主に日系製造業のお客様向けに海外事業拡大のプロジェクトに携わっておりました。2016年半ば頃に突然母国に帰ろうと思い、日本人の妻と一緒に2016年9月にジャカルタに初めて移住しました。僕が選んだのは故郷のメダンではなく、ジャカルタでした。
ジャカルタでは日系コンサル会社のインドネシア拠点を立ち上げる予定だったのですが、あいにく当時は外資規制の資本関係で支社の立ち上げが難しく、現地のパートナー会社である日系FA機器を取り扱い工場の自動化ソリューションを提供するSI会社に就職することになり、同社のIoT事業部の立ち上げの仕事をしながら、日系コンサル会社の東南アジア案件も手伝っておりました。
ジャカルタ生活を始めて2年半後、2019年1月にスーパーアプリを展開しているインドネシアのベンチャー企業Gojekに転職することになりました。当時のインドネシアのベンチャー企業の社風はとにかくダイナミックで、数か月に一回部署が変わりました。僕が入社した時はライフスタイル事業部(GoLife)のオペレーション部門への配置でしたが、3か月後にはGoLifeの新プロダクト(サービスマーケットプレイス)ローンチの責任者の仕事を任せられました。
2019年9月に無事プロダクトをローンチし、いよいよこれからだぞといったタイミングで、10月にGojekの創業者兼CEOのNadiem Makarim氏が教育文化大臣に任命され、Kevin Aluwi氏とAndre Soelistyo氏がCo-CEOを就任し、会社全体の方針をガラッと変えて複数の事業部を撤去することになりました。僕が所属していたライフスタイル事業部もその対象に。撤退する理由について、当時のNorth Star Metric(北極星指標)は「取引件数」でしたので、ユーザーが日々利用する配車サービス(GoRide、GoCar)、フードデリバリーサービス(GoFood)やペイメントサービス(GoPay)に資産を投入することであり、取引額が大きいが取引件数が少ないライフスタイル部門のようなサービスは重要ではなくなるという判断だったのです。
ちなみに、今は無きライフスタイル事業部の主な事業内容をご紹介します。
①GoMassage:自宅でマッサージを受けられるサービス
②GoGlam:女性向けに自宅でメイクやエステを受けられるサービス
③GoFix:エアコンなど家電の修理サービス
④GoAuto:自宅で自動車修理や洗車サービス
⑤GoClean:家やアパートのクリーニングサービス
僕の上司だったライフスタイル事業部の責任者Dayu Dara Permata氏はその後、不動産取引プラットフォームPinhomeを創業し、モバイルアプリ内に上記5つのサービスも提供しているので、是非ご利用してみてください。次回の記事にPinhomeの使い方をご紹介できればと思います。
ライフスタイル事業部閉鎖後、僕はGojekコマーシャル部門に移り、イオンモールやインドネシア国内大手病院などの業務提携先との戦略的パートナーシップの仕事をしながら、三菱商事・三菱自動車・三菱UFJリース・クールジャパン機構といった日系投資家の対応もしておりました。2021年1月にGojek戦略室に移動になり、本格的に戦略投資家の対応・プロジェクトマネジメントの仕事に専念しました。戦略投資家とは、日系投資家の他、国営通信会社Telkomselや外資保険会社AIA・Allianzなどが含まれています。
同年5月に、Gojekがインドネシア大手ECプラットフォームTokopediaと合弁し、8月に持株会社GoToの役員室に再び移動することになりました。業務内容は基本的に同じですが、元々業務提携の範囲がGojekグループのみのものが更にTokopedia側に広がるイメージです。また、戦略投資家対応の仕事に加えて新規事業開発のプロジェクトマネジメントも業務の範囲内になりました。

以下僕が担当した新規事業の案件事例です。
①首都圏公共交通統合サービス「JakLingko」の入札
②ネコ型配膳ロボット「BellaBot」の実証実験
③電動バイク「Electrum」の事業立ち上げ
2022年4月にGoToがインドネシア証券取引所に上場し、確か上場時のバリュエーションは約288億ドルでした。上場まもなく、新規事業への資源投入を抑え黒字化達成といった目標は新しく設定されました。米国の物価上昇やウクライナ戦争のような地政学的緊張などの世界経済要因を受け、米S&P500種株価指標が急落し、シリコンバレーでテックバブルが崩壊したとの認識はあったが、まさか常夏のインドネシアにもテックウィンター(冬の時代)がやってくるとは。。

左からは、Patrick Cao氏(元President)、William Tanuwidjaja氏(Tokopedia創業者)、Andre Soelistyo氏(Gojek元Co-CEO)、Kevin Aluwi氏(Gojek元Co-CEO)
6月にCo-CEOのKevin Aluwi氏が共同社長席を辞任し、そのタイミングに自分の直感を信じてGoToを卒業することを決意しました。
さて、退職して何をするか迷いました。ずっと気になっていた成長中のクリエイターエコノミーに関連するサービスを起業しようかと考え、ちょうどAntler起業支援プログラムがインドネシアでバッチ2を開始するタイミングでしたので、それに応募しプログラムに参加しました。
Antlerでは起業の育成を得て、知り合ったばかりの参加者同士でチームを組んで事業を立ち上げて、選ばれたチームがAntlerからPre-Seedラウンドの出資を受ける仕組みです。Pre-IC(投資委員会前)の段階までスムーズに進みましたが、ちょうど同じタイミングで日系ベンチャーキャピタルSpiral Venturesと偶然出会い、東南アジアの投資責任者としてのオファーを受けました。
もともとインドネシアに戻ってきたのは事業を立ち上げる、僕に奨学金というチャンスを与えてくれた日本に、日本↔インドネシアの架け橋となって恩返しをすること。自分は起業家の道を進むのか、日系ベンチャーキャピタルの道を進むのか。何がベストな判断なのか、これまでの歩みを振り返りながら自分自身のスキルやパッション、また日本への恩返しというミッションを総合的に考慮し、日系VCにて東南アジアのベンチャーエコシステムを支援しながら日系企業との業務提携の仕事をすることを選びました。それがベストだと決心し、2022年12月にSpiral Venturesに参画することになりました。今はジャカルタを拠点に東南アジアの既存投資先支援や新規投資案件の発掘・投資実行などを担当しております。

今後発信する予定のテーマ
最近は仕事の関係で東南アジアに参入を検討している日系企業様やインドネシアで起業した・される予定の日本人経営者と出会える機会が増えました。インドネシアに参入する際に、主に障壁となる情報のギャップがあると思いますが、少しでもこのブログを通じて埋めていければという思いを込めて、このブログを開設しました。
仕事と関連する東南アジアのベンチャー投資トレンドや弊社の投資先のご紹介を含めて、インドネシア関連情報全般やジャカルタ生活情報も定期的に発信したいと考えています。
- インドネシアや東南アジアのベンチャー投資トレンド
- 弊社投資先や東南アジアで面白いベンチャー企業のご紹介
- インドネシア関連情報全般
- ジャカルタ生活情報
最近、日本語でのインドネシア情報サイトが増えていると思いますが、もし何かインドネシア語での情報を調べて日本語でまとめてほしいといったリクエストがございましたら、Xなどでお気軽にご連絡を頂ければ幸いです。
長くなってしまいましたが、最後まで読んで頂きまして、ありがとうございました。
今後とも、どうぞよろしくお願い致します。
